梨木果歩さんの名作『西の魔女が死んだ』。
大好きな作品すぎて、もう3回は読んだのですが改めて感想を書いておこうと思います。
本当にオススメなのでぜひ最後まで読んでいってくださいね!
『西の魔女が死んだ』の基本情報
まずは基本情報からご紹介します。
書誌情報
タイトル | 西の魔女が死んだ |
著者 | 梨木果歩 |
出版社 | 新潮社 |
発売日 | 2001/8/1 |
本の長さ | 226ページ |
ISBN-10 | 4101253323 |
ISBN-13 | 978-4101253329 |
あらすじ
続いて、あらすじを簡単にご紹介します。
学校に行きたくなくなってしまった、主人公「まい」。困った母親は、美しい自然に囲まれた田舎に住む「西の魔女」ことまいのおばあちゃんの家で1ヶ月あまり暮らしてみることになります。魔女になるために必要なのは「意思の力」だというおばあちゃんの言われるがままに、乱れていた生活習慣を整え、自然の恵みに感謝しながら田舎暮らしをするまい。大好きなおばあちゃんのもとで魔女修行をするうち、成長していくまいの姿を描いた物語です。
おすすめポイント
『西の魔女が死んだ』のおすすめポイントは以下の3つです。
小学生でも読めるようなわかりやすい文体で、物語にスッと入り込むことができますし、何より心がホッとします。
「最近ストレスが多いなあ」と感じている、幅広い世代の大人にもおすすめできる作品です。
『西の魔女が死んだ』を読んだ感想
アラサー主婦である筆者が『西の魔女が死んだ』を読んだ感想をカンタンに述べていきます!
思春期特有の敏感な主人公まいにめちゃくちゃ共感する
主人公のまいは、学校での閉鎖的な人間関係に辟易し登校を拒否。
母親が自分のことを「扱いにくい子」と言っているのを聞いて深く傷ついたり、父親に「死んだら何もなくなる」と言われて恐れ慄いたり。
思春期特有の感受性の豊かさで、まいは世界を経験していきます。
きっと誰もが一度は抱いたことのある世界への違和感や息苦しさ。
西の魔女の助けを借りながら、少しずつ生きる術を学んでいくまいの姿には心打たれました。
身体は心の入れものである
魔女修行を始めることにしたまいに課されたのは、早寝早起き・適度な運動と健康的な食事。
そして、自分で決めたことをやり遂げる意思の力を養うこと。
「精神力が弱いと悪魔に乗っ取られる」とおばあちゃんにうまく脅されてしぶしぶ始めたまいでしたが、このトレーニングはまいに効果てきめんでした。
大人になって思いますが、「当たり前のことを当たり前にする」って本当に難しい。
規則正しく健康的な生活をすることがどんなに難しいことか、きっと多くの人が実感していることではないでしょうか。
心の成長は、地道な努力で退屈な毎日を乗り越えた先に実現できるもの。
心を成長させたければ、まずは入れ物である身体を鍛えることが必要なのです。
当たり前の日常を当たり前にこなせるようになってはじめて、前に進むことができる。
大切なことを気づかせてくれました。
咲ける場所へ歩いていこう
私が『西の魔女が死んだ』を読んでいちばん心に残っている名言はこちら。
サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか。(P162)
私たち人間にも、ほかの生き物と同じように適した環境があります。
一人ひとり違う個性があるのだから当然のことです。
しかしながら、私たちは同じ環境で同じパフォーマンスをすることを求められて育ちます。(だから学校って息苦しいんですよね)
「蒔かれた場所で咲きなさい」なんて有名な言葉がありますが、私はそうは思いません。
私たちには自分が咲き誇れるような場所を選ぶ権利があります。
まいのおばあちゃんのこの言葉は、まいをどんなに安心させたことでしょう。
大人にもおすすめな児童向け小説『西の魔女が死んだ』
『西の魔女が死んだ』は、大人が読んでも間違いなく面白い一冊です。
むしろ大人のほうが心に響くかもしれません。
2時間もあれば読みきってしまうくらいの分量なので、スキマ時間のお供にぜひ読んでみてくださいね!